会長挨拶

このたび,第37回日本麻酔・集中治療テクノロジー学会を大阪市の大阪大学中之島センターで開催させていただくことになり,大変光栄に存じます.

今回の学会では「テクノロジーを実用化する」と致しました.私は常々,知識や技術は使えて初めて意味があると考えてきました.実用化されてこそ意味があるということです.本学会では常々会員のテクノロジーに関する様々なアイディアを発表し,現在のテクノロジーを如何にして我々の麻酔臨床に役立たせるかについてディスカッションして来ました.
本学会の会員は,こうしたアイディアを考案する事に長けていますが,一方でそれらを実際に多くの人達に使ってもらう方策を持ち合わせておりません.一方で,医療機器を開発するメーカーの方々は優れた開発力を持っていますが,ユーザーがどのようなニーズを持っているのかを知るチャンスは多くありません.

そこで,今回の学会では,メーカー側からアイディアをどのようにして製品化しているのかという点に関してお話頂き,一方学会員からは,現在のテクノロジーで実現可能でかつ麻酔臨床に役に立つと考えられるアイディアを出して貰うことにしました.本学会は麻酔科医の中でもテクノロジーの知識を持つ人間の集まりですので,メーカー側との連携によって麻酔科医のニーズに合った製品の提案をして行くことが大切であると考えております.本学会の議論を通して一つでも二つでも将来的に麻酔科医に役立つ素晴らしい製品が生まれればと考えております.昨年の本学会では内田会長が「展示会で探す,これからの麻酔で使えそうなテクノロジー」というシンポジウムを開催されました.今回のシンポジウムに近いところがあるかもしれませんが,今回は特に「展示会」に限らず,色々な分野の知識や技術の中から使えそうなものを考えて発表して頂こうと考えております.

昨年の本学会では午前と午後に機器展示ブースで製品プレゼンテーションを行う"テクノロジーラウンド”という企画がございました.今回の学会では会場のスケジュールの都合もあり,昨年ほどの時間を取る事は難しいかと考えておりますが,午前と午後にコーヒーブレイク時間を設けて機器展示ブースを見ることができるようにしたいと考えております.

特別講演につきましては関西医科大学精神神経科学教室の吉村匡史先生にお願いしました.私はここ20年ほど麻酔中の脳波解析を行って来ており,様々な解析手法を学んで来ました.その中でMATLABというプラットフォームの上で動作するEEGLABというソフトを知り,その内容に興味を持ちこのソフトウェアのユーザーによるメーリングリストに参加しておりました.そこで,吉村先生がLORETA解析などの脳波解析を行っている事を知りました.また,様々な向精神薬を使った時の脳波についての研究も重ねられていることも知り,是非本学会でお話頂きたいと考えてお願い致しました.興味深いお話が聞けるものと期待しています.

本学会は年末に近い慌しい時期に開催されますが,11月30日は麻酔臨床にどのようなテクノロジーをどのように応用して実用化を図るか,活発な議論が行われる事を期待しております.参加される多くの先生方に実りある学会になれば幸いです.多くの皆様のご参加をお待ちしております.

2019年11月吉日
第37回日本麻酔・集中治療テクノロジー学会
会長 萩平 哲
(関西医科大学 麻酔科学講座 診療教授)

大会事務局

関西医科大学 麻酔科学講座
〒573-1191 枚方市新町2-5-1

Tel. 072(804)2683
Fax. 072(804)2075
E-mail:
jsta37@masui.usr.kmu.ac.jp
※@は半角に置き換えてください