機器組み込み小型LinuxボードuCsimmの紹介

京都府立医科大学麻酔学教室
田中義文

はじめに:
今日ではパーソナルコンピュータの価格が低下し、臨床現場でも安易にコンピュータオンライン処理ができる環境になりつつある。しかし、現在市販されているパーソナルコンピュータはディスク駆動であり、突然リセットボタンを押したり、電源オフを行うとディスク情報が破壊され、その後の動作に決定的ダメージが生じることもあり、診療現場で安心して使用できるまでには至っていない。また、ラップトップと言えども場所をとり、大きな制約となっている。モニター機器からの単純なデータ収録だけにパーソナルコンピュータを使用するには、信頼性、コスト、運用の全ての面について満足できる閾値に至っていないといえる。つまり、電源遮断でもダメージを受けず、種々の通信手順に対応でき、超小型ネットワークコンピュータの出現が待たれていたといえる。

方法と結果:
Rt-Control社製フラッシュROM搭載のLinuxボードは幅3Cm、長さ9CmのSimmボードであり、これらの要求が満足できる仕様であり、今回試験使用を行った。本装置はパームトップコンピュータの液晶表示部分がない代りに、電源(5V)端子、RS242C端子、10BTイーサネット端子がついている裸の基板だと思えばよい。プ
ログラム開発は別のLinux装置で実行命令を作り、動作確認をした後、フラッシュROMに書き込む方式である。未だ十分な性能評価には至っていないが、
例:cat のたった一行のプログラムでモニターRS232C出力をイーサネット上に転送することができた。これで少なくとも単なるデータ吐き出ししかプログラムされていない、コーリン社製モニター、Baxter Vigilanceなどのオンラインデータ記録は十分対応できるはずである。テルモシリンジポンプなどは双方向通信が必要であり、そのためのプログラム開発が必要である。

考察:
RS232C<-->イーサネット変換装置は数年前より市販されているが、殆ど一方向通信だけであり、双方向通信となるとプログラム開発を必要とし市販品がないのが現状であった。今回紹介したSIMMボードは実時間動作するLinuxシステムであり、克自由にプログラミング可能とあって、臨床、実験に十分利用可能と期待できる。



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